建築学科ごっことは?

「建築学科」という世界を知るために、受験生・新入生にオススメな「建築学科マニュアル本」

建築学科への入学を志望する受験生の皆さん、もしくは入学し、これからの4年間の生活に期待と不安の入り混じる新入生の皆さん。

建築学科って、不安ですよね。

なんかオシャレそうだし、頭良さそうだし、センスないとやっていけなさそうだし、

その一方で忙しいとか、ブラックとか、徹夜続きとかいった黒い噂も聞こえてくる。

進路選びや入学直前の春休み段階で、建築学科での生活や活動がどのようなものなのか、少しでも情報が欲しいというのが本音だと思います。

この記事では、さまざまな建築家やライター、企業に団体の手による

「建築学生・建築学生」をテーマとした書籍をまとめてみました。

  • 大学講義の受け方
  • 設計課題の内容の概説
  • サークル活動やバイトとの兼ね合い
  • 画力やセンスとの向き合い方
  • 建築業界の仕事や就活の進め方

こうした、入学前に知っておきたい建築学科の生態を把握する上で手がかりとなる6冊です。

もちろん入学後の学生生活で参考になる情報も沢山あります。

 建築学科の生活全般を把握するためガイドブック

ようこそ建築学科へ

  • 著者:松田達 南泰裕 北川啓介
  • 価格:1,980円

 一口に建築学科といっても、その実態はさまざまです。

教育機関で分類すれば、大学・高専・専門学校、
専門分野として分けても、芸術系・環境系・工学系・社会系、

という具合にその実態はさまざまです。

本書は、建築学科の新入生はもちろん、将来建築家になりたいけどどうすればいいのかわからないという高校生も対象とし、

  • 1章:学科紹介
  • 2章:授業・課題
  • 3章:日常生活
  • 4章:建築体験
  • 5章:課外授業
  • 6章:将来設計

の全6章で、「建築学科」という組織を案内するオリエンテーション・ブックです。

ただし、受験生や新入生を対象に建築学科の雰囲気を伝える面を重視しており、入学してしばらくするとどうしても内容が陳腐化してきます。
建築学科として当たり前の情報が中心内容のため、4年間みっちり役に立つ内容が読みたいならば、下記の「プロ建築家としての勉強法」がオススメでしょう。

まだ建築学科に進むか迷っている受験生やその保護者の皆さん、そして建築学科の入学を控えた新入生の皆さんにオススメの一冊です。

プロ建築家になる勉強法

  • 著者:山梨知彦
  • 価格:1,760円

一方こちらは、 日本でもっともおおきな建築設計事務所、「日建設計」で働くベテラン設計士の山梨知彦による、建築学生のためのマニュアル本です。

上述の「ようこそ建築学科へ」との相違点としては、前者が日本中の建築家や建築学科教員による短いエッセイをまとめた書籍であるのに対し、本書が山梨氏の単著である点です。

前書きに「僕が普段新入社員に対して伝えている小言をまとめたもの」という内容の通り、建築学科での4年間で身につけておくべき知識やスキルを淡々と紹介されています。

そのため、毎年読み直すたびに新しい発見があり、特に設計職に進む学生にとって

「こんな重要な情報があったのか!もっとはやく読んでおけばよかった!」

と思わせるディープな一冊です。

すでに建築学科の志望が確定している受験生や、これから設計課題が始まろうという一年生にオススメの1冊です。

設計課題の取り組みに密着した書籍

初めての建築設計ステップバイステップ

  • 著者:川北健雄 他
  • 価格:2,724円

初めて設計を学び始める神戸芸術工科大学の学生6人が、

「架空の多目的ホールを建てる」

という課題に対して、周辺敷地の調査を行い、建築の形態を考え、利用計画に頭を悩ませ、図面を引き、模型を作り、人々に発表するまでの、その一連の試行錯誤と悩みを追いかける形の書籍です。

建築設計の手順を

  1. 敷地を読む
  2. ヴォリュームで考える
  3. 機能を考える
  4. 空間の囲み方・支え方を考える
  5. 細部を考える
  6. プレゼンテーション

の前6章に分解して解説しており、建築学生が普段製図室で何を作り何に頭を悩ませているかということがこの上なくよくわかると思います。

良くも悪くも掲載されている学生作品のレベルが後述の「建築新人戦」と比べて高すぎず、高校生が課題の内容を具体的に知りたい時初めて設計課題に取り組む際のよき道標となる1冊でしょう。

建築新人戦オフィシャルブック

  • 著者:建築新人戦実行委員会
  • 価格:1,980円

 上述の「ステップバイステップ」が設計課題入門だとすれば、こちらの書籍は建築課題の最高峰というべきでしょう。

建築新人戦とは、全国の建築学科で出題された設計課題作品を各学生が持ち寄り、敷地もテーマも学年も異なる作品群の中から、その年の最も優れた設計作品を選出するコンテストです

本書は、そんな建築新人戦の優秀作品や、その作品が選出されるに至った審査過程を詳細に解説した一冊です。
掲載されている模型や図面は、単純にその課題で提出したものではなく、提出からさらに加工されたり修正されたり作り直したブラッシュアップされたものがほとんどのため、全国の建築を学ぶ学生たちのハイエンドを覗き見たい方におすすめです。

建築学生の就活を知るおすすめ本

建築学生のハローワーク

  • 著者:五十嵐太郎
  • 価格:2,200円

 その名の通り、建築・都市計画・不動産にまつわる50の職業を紹介する本です。

業界内のあらゆるプロフェッショナル29人にインタビューし、各職業毎に見開き2ページ単位でコンパクトにまとめた、密度の濃い紹介書籍です。

紹介されている職業(一部インタビュー付き)

建築士、建築家、構造設計者、設備設計者、ファザードエンジニア、工場設計者、ランドスケープアーキテクト、土木デザイナー、照明デザイナー、音響設計・コンサルタント、店舗開発・設計者、インテリアデザイナー、家具デザイナー、キッチンデザイナー、保存・修復建築家、映画美術監督・デザイナー、都市計画者、ディベロッパー、建築プロデューサー、建築計画者、不動産投資運用者、ファシリティマネジャー、イベント・空間プロデューサー、福祉住環境コーディネーター、リフォームアドバイザー、政治家、建築現場監督、大工、左官職人、庭師、家具職人、コストプランナー、地質・地盤調査員、CADオペレーター、CG制作者、ソフトウェア開発者、建築模型制作者、秘書、確認検査員、意匠審査官、大学の研究者、研究員(行政・民間の建築技術研究所)、高等学校教諭、学芸員、建築写真家、建築評論家、新聞記者、建築ライター、編集者。

本文より引用

就職のための資格や方法ももちろんか書かれていますが、むしろ就職の時期よりも1年生から3年生の時期や、一度入社してから転職や営業の際に読む本と言った方が正確でしょう。

こちらも建築学生のみならず、建築業界志望だけど漠然とした建築家イメージしかないという受験生に有益な一冊だと思います。

建築学生の[就活]完全マニュアル

  • 著者:星裕之
  • 価格:1,320円

タイトルの通り、建築学科出身学生のための就活教本です。

大きく、建築業界のさまざまな企業を紹介する前半パートと、実際にその企業に入るために必要なESの書き方や就活マナーを紹介する後半に別れます。

前半の業界解説は、大企業や公務員、一般的な知名度は薄いけれど業界内では不動の地位を誇るような建材メーカーや設備会社、はては検査機関や公益法人まで、具体的な社名をずらりと並べた一冊です。

後半の就活マニュアルは、基本的には一般的なリクルート対策本(面接対策とかESの書き方とかの本)とあまり変わりません。

建築家のもとで修行して独立というより、組織の一員として新卒採用されて、大企業の中で働きたいという学生向けの一冊でしょう。

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