と思うんですよ。
もちろんレジ前でもたつかなくなったとか、財布が軽いとか、ATMに行く頻度が減ったとかは、すごい便利なんですけど。
個人的なキャッシュレス化の最大のメリットは
- 財布の中身
- 銀行口座の中身
- クレジットカードの利用額
- 各キャッシュレスサービスの残高や利用額
- Amazonや楽天のポイント
- 証券口座、仮想通貨
- 過去数カ月分の家計簿
といった、お金に関する情報をスマホ上で一覧できる環境を、半自動的に構築できる点にあると思うのです。
だから「クレカやスマホ決済だとお金を使いすぎてしまうのが怖い」 みたいな指摘は、スマホやクラウドの概念がなかった時代の発想であり、かなり的外れな不安になりつつあるというのが私見です。
以下、筆者が実践したキャッシュレス化の過程を具体例を交えながら、スマホ決済を導入するまでに必要なことをまとめつつ、その感想を綴っていきます。
入学や就職を機に「スマホ決済を始めたいなー」という学生・新社会人の方の参考になれば幸いです。
キャッシュレス化に必要なもの
はじめに、まだキャッシュレスに踏み切れてない方のために、
「これまで高校生だった人が、一人暮らしにあたってキャッシュレスを始める」
というシチュエーションを想定して、スマホ決済を導入するまでの過程をつらつら羅列していきます。
まずは必要なものの整理からです。
スマートフォン
説明不要。
ただあまり古い機種だと決済機能を持っていない場合があるので、おサイフケータイを使いたい人で買ったのが数年前という人は、機能の確認が必要です。
銀行口座
これも、僕が書くまでもない話だと思います。
仕送りやバイト代・給料の受け取りのために、新生活で一つくらいは銀行口座を作るはずです。
銀行の選び方ですが、基本的には、都市に暮らしている人は都市銀行、地方に暮らしている人はその地域の地方銀行、という選び方でいいのではないでしょうか。
その上で、
- 自宅近くに支店がある
- 大学の近くに支店・ATMがある
など、通学路上にその銀行があるブランドの方が好ましいかと思います。
あと、親からの仕送りがある人は、親が利用する口座と同じ銀行にしておくと振り込み手数料がかからないので、両親とよく相談してから作ったほうがいいかもしれません。
申請してからカードが届くまでに、普通1週間程度かかるので、早めに申請しておきましょう。
具体例:三井住友銀行(SMBC)
一応このブログは建築・デザイン系の学生が読者層ということで、三井住友銀行のアプリについて述べておきます。
2019年3月、三井住友銀行は銀行の公式アプリの大幅な改良・アップデートを行いました。
で、これのアプリがものすごく使いやすくてかっこいい。
▼公式の発表
▼公式note
正直銀行のアプリって、どうせ登録もログインも送金も入金も死ぬほど面倒臭いものばかりで、無意識に画面をカチ割りたくなるクソアプリばかりって偏見がありましたが、三井住友銀行のこのアプリは、使ってみてかなり快適でした。
「都市銀行ならどこでもいいな」という人に、ちょっとだけおすすめしておきます。
デザイナーが評価される社会になれ。
クレジットカード
口座が開設したら、クレジットカードを作ります。
ほとんどのキャッシュレスサービスはクレジットカードと紐付いているので、キャッシュレス化にあたってクレジットカードは不可欠です。
(なくてもできるやつもあるけれど)。
クレジットカードが日常生活で便利なのはもちろんですけれど、特にネット上の買い物や決済はクレジットカードが無いとすこぶる不便です。
楽天・Amazonなどのオンラインショッピングでも、クレジットカードの有無で使いやすさがぜんぜん違いますし、noteやProgateなどオンラインで何かを学ぶ際のハードルもぐんと下がります。
特にこのブログが普段対象読者としている建築学生は、Adobeソフト・CADソフトの支払いを考えればクレジットカードの作成は必須といってもいいと思います。
クレジットカードの基礎知識に関しては以下のサイトが有名なので、不安な人は一通り目を通しておくと勉強になります。
「個人ブログの理想像」「休日に読みたいブログの代表例」の例としてしばし取り上げられるくらい、膨大な情報量が分かりやすく網羅的にまとまっています。
また後述の通り、iDやQUICPayといった決済には、対応するクレジットカードの種類があります。
特定のスマホ決済機能を使いたい方は、申込みをするクレジットカードがその電子マネーに対応しているかどうかを見ておいたほうがいいかも知れません。
具体例:楽天カード
学生でも作れるカードはたくさんあり、楽天カードはその代表例です。
たまに「楽天カードは楽天のサービスでしか使えない」と考えている人がいますが、Amazonとかコンビニとかでも使える普通のクレジットカードです。
「とりあえずクレジットカード作りたいけど細かいことよくわかんない」
という人は、楽天カードから始めるのがいいのではないでしょうか?
まず、審査がゆるい。
職業欄を「スナイパー」にしても審査が通ったと言われるほど審査がゆるい。
学生なら、無収入でも作ってもらえます。
奨学金を借りていても、関係なく作成できます。
(高校生は申請できません。また、未成年者は親権者の同意が必要です。)
次に、コストがかからない。
入会費・年会費・解約金もなく、作ることのデメリットが特にありません。
年齢制限も無いので、大学を卒業しても就職しても無料のままです。
仮に作成を申請してカードが届いて、そのあと一度も使わないまま放置しておいても、何の損害も出ないはずです。
(使わなくなってから一年後に自動で契約破棄)
更あと、楽天カードはQUICPayに対応しているため、カードの情報をスマホに登録するだけで、かんたんにQUICPayが使えるようになります。
▼公式HP
こちらも申請してから届くまでに1週間くらいかかります。
前述の銀行口座と合わせると、2-3週間くらいは余裕を見ておいたほうがいいかもしれません。
情報をスマホで管理する
銀行口座とクレジットカードだけでは、キャッシュレスのスタートラインに立ったに過ぎません。
記事冒頭でも述べたように、現代型のキャッシュレスとは「スマホに情報を集約する」することで真価を発揮します。
極論すれば、「スマホさえ持っていれば現金も銀行のカードもクレジットカードも持ち歩かなくていい」状況を目指します。(実際にそこまでやると、メリットよりもデメリットが上回るのですが……)
クレジットカードをスマホに登録する
とりあえず、クレジットカードとスマホを連携させましょう。
いわゆるおサイフケータイというものです。
iPhoneの人ならApple Payに、
Androidの人ならGoogle Payに、
それぞれカードの情報を登録しましょう。
これで、スマホの中にクレジットカードが登録された状況になります。
飲食店の会計の際、いちいち財布を出して中からカードを取り出さなくても、支払いができるようになります。
またこれによって、後述のスマホ決済の準備が調いました。
スマホ決済を始める
いわゆる「◯◯pay」みたいなやつはいろいろあるので、皆さんの好きなサービスを使えばいいと思います。
電子決済を選ぶ際の個人的なポイントは、以下の5つです。
- 普及率:多くの店や駅で使える。(特に自分がよく行く店)
- クレカ連携:多くのクレジットカードと連携できる。(特に自分のクレジットカード)
- スムーズさ:決済する際の操作がかんたん
- 会計ソフト連携:自分の使っている会計ソフトと連携できる
- 会計明細:なにを買ったかという利用明細がきちんと記録される
色々種類はありますが、筆者が使っている(いた)ものを紹介します。
具体例:モバイルSuica
- 普及率:◎
- クレカ連携:◎
- スムーズさ:◎
- 会計ソフト連携:◎
- 会計明細:△(何を買ったか記録されない)
交通系決済の代表で、国内の交通機関はほとんどこれで通れるようになると思います。
スマホを改札にかざして通過できるようになります。
また、電車やバスの移動の際に乗降車駅と利用料金が自動で保存されるため、あとになって交通費がどのくらいかかったのかを、かなり正確に把握できます。
ちなみに、普通の買い物にも使えます。
ただ利用明細が何を買っても「物販」としか記録されないため、あとでデータを確認しても「この時なにを買ったのか?」という点が表示されません。
そのため、筆者は交通利用にのみ利用しています。
▼参考
これがSuicaの最大の弱点で、これさえクリアできれば国内で他の電子マネーは使わずに済むのですが……
具体例:QUICPay
- 普及率:◯
- クレカ連携:◎
- スムーズさ:◎
- 会計ソフト連携:◎
- 会計明細:◎
しょうがないので、日常ではこちらのQUICPayも併用しています。
水野学信者としては、類似のサービスであるiDを使いたかったのですが、楽天カードが標準でQUICPay対応だったのでQUICPayにしました。
でも便利。体感ですが、コンビニなら9割9分、飲食チェーン店なら6割くらいの店で使えます。
上限2万円という制限があるので、細々した買い物にしか利用できませんが、大きい買い物は普通にクレジットカードで行うので、特に不便はありません。
具体例:LINE Pay
- 普及率:◎
- クレカ連携:△(ごく一部の決済のみ対応)
- スムーズさ:△(QRコードを出すのが面倒)
- 会計ソフト連携:△(連携が不安定)
- 会計明細:◎
逆につかわなかった例も紹介しておきます。
始めてみたものの、次第に使わなくなったのがLINE Payでした。
まずLINE Payか否かに関わらず、バーコード型の決済がそもそも面倒です。
電源を起動して、LINEアプリを開いて、そこから更にLINE Payのページを開いて、ようやく決済となるので、慣れるまでレジ前でかなりもたついた記憶があります。
また、仮にスムーズにQRコードを表示しても、レジでゴタゴタする印象でした。
▼参考
また、銀行口座から使う分だけLINE Payに登録する必要があるのも手間でした。
銀行口座から直接引き落とせばいいのに、わざわざ手動で一度LINEアプリ内にチャージする必要があって、二度手間感が強いです。
クレジットカードとの連携にも乏しく、普通の飲食店やコンビニでの支払いにはクレジットカード経由での支払いができません。
おまけに、何故か後述のマネーフォワードとの相性がめちゃくちゃ悪く、何度も認証失敗、連携失敗になります。
今はもう改善されているのかも知れませんが、基本的にバーコード決済はもう使わない気がします。
家計簿アプリを導入する
ようやくこの記事の本題、「家計簿アプリ」の話です。
高校生で家計簿つけていた人っていますか?
多分ものすごい少数派だと思います。
それは、扱う金額の量が少ないというのも一つの理由だと思うのですが、それ以上に収入源が限られていたというのが、大きな理由だと思います。
高校生までの収入って、基本的に「親」一択で、たまに親戚からお小遣いやお年玉をもらう程度、お金の保管場所も「財布」「貯金箱」くらいしかない、というのが普通だと思います。
そのため、「毎月もらう金額を越えないようにお金を使う」ということが、特に難しくないんですよね。
ところが大学生やになると、
- 親の仕送り
- 奨学金
- バイト代(場合によっては複数)
- 副業
など、お金の入り口が複数になり、収支計算が一気に複雑になります。
銀行口座やクレジットカードを複数持ちすることも珍しくありませんし、水道代や電気代、有料のWebサービスなど定期的に引き落としのある支出も増加します。
まして社会人になると、ローンの支払いとか銀行からの借り入れとか会社の経費の計算とかその他よくわからないお金の動きが増え始めるので、いまどこにどの程度のお金があり、いつ頃にどの程度の支出があるのかという情報の把握が、非常に困難になりはじめます。
キャッシュレス化以前はこういう情報を、いちいち手作業で管理する必要がありました。
- 手持ちの現金は使うたびにレシートを貰って家計簿につける
- クレジットカードの利用状況は月末の明細が来るまでよくわからない
- 銀行口座の残高は、ATMまで行って確認する必要がある
こんな状況だったので、「今月食費にいくらお金を使ったのか」みたいな情報を把握している人って、個人事業主か専業主婦化、もしくはものすごい几帳面な人ぐらいでした。
キャッシュレスの凄さ、そして家計簿アプリの凄さというのは、こうした面倒すぎる収支情報が、半自動的に一つのアプリにまとまる点にこそあります。
家計簿ソフト、とくに「クラウド型」と呼ばれる家計簿ソフトは、各種銀行やカード会社の情報に自動でログイン・アクセスし、口座情報や取引明細の仕分けを行ってくれるのです。
無料のクラウド家計簿アプリとして有名なのは、
- Money Forward ME
- Moneytree
- Zaim
が挙げられます。
筆者は1つめのMoney Forward MEを使っています。
具体例:Money Forward ME
資産管理や帳簿計算をしない学生にとっては、十分すぎる機能をもつ家計簿アプリです。
アプリをダウンロードした後は、
- 銀行口座
- クレジットカード情報
- 電子マネー情報
などを最初に登録しておくだけで、その残高や利用履歴が自動で保存されていきます。
(流石に現金払いをしたときは、手動入力やレシートの読み込みが必要ですが)
Amazonの利用状況、ポイントの残高、仮想通貨の状況なども登録できるため、学生レベルのお金に関する情報はほとんどこのアプリに集約できるかと思います。
それにより使途不明金が激減したのと同時に、収支の把握もしやすくなりました。
有料会員(月500円)になると、
- 登録口座数が「10→無制限」に
- 履歴閲覧期間が「過去1年間→無制限に」
- 分析系機能向上
- 一括同期
- 広告の撤廃
などの機能が見込めますが、学生は基本収支管理できれば充分なので、無料版でも問題ないと思います。
資産状況を可視化したり、提携口座数が10を超え始めたとき、有料版や他のアプリへの乗り換えを考えればいいと思います。
また、学生のうちからフリーランサーとして働きたいとか、就職してからも副業を進めたいとか、これから独立して個人事業主として働くんだ、という人は、
- freee
- Money Forward Cloud
などの、会計ソフトの利用も検討しましょう。
上述のMoney Forward MEと異なり、こちらは確定申告や経理計算も行えるサービスになっています。
半年間キャッシュレスをやってみて思ったこと
偉そうに語ってきましたが、筆者はまだキャッシュレス体制を整えてから半年のキャッシュレス初心者です。
始めるまでは「便利かもしれないけれど、導入したいほどじゃない」くらいの温度感でしたが、始めてみるとなかなか便利でした。
率直にいえば、「もっと早くに始めていればよかったな」とも思っています。
キャッシュレス化をこれから始める人のポイントとしては、
- キャッシュレス化一番のメリットは「自動で家計簿が完成すること」
- いきなり全ての支払いをキャッシュレスにする必要はない(充電切れや被災時に死ぬ)
- まずは銀行口座とクレジットカードの情報をスマホで見れるようにするところから
の3点を意識するのが、無理なく負担なく電子決済を導入する入り口になるのではないでしょうか?
「スマホが自動でお金を管理してくれる」状態を一度形成してしまえば、キャッシュレス化のメリットが肌感覚でわかるようになると思います。
▼以下、建築学生のキャッシュレス化事情
キャッシュレス化・スマホ決済を……
— 建築学科ごっこ (@gakkagokko) February 12, 2020
やってる VS やってない = 6:4
好意的 VS 否定的 = 7:3
ってところですね。建築学生のキャッシュレス化、思ってたよりも進んでる印象です。
— 建築学科ごっこ (@gakkagokko) February 13, 2020