プライバシーや防テロの観点から、基本的に図面は公開されないものなので
…… #Peing #質問箱 https://t.co/SLQRpZc78d— 建築学科ごっこ (@gakkagokko) April 19, 2020
- 「図面模写をして、設計力を上げたい!」
- 「模型作成の練習をしたい!」
- 「どうせなら名作住宅の図面で製図のトレーニングしたい!」
「でも図面が手に入らない!!!」
建築学科に入学した学生が、製図を学ぶ上で最初にぶち当たる壁です。
新建築とか、建築系の雑誌を買えばいくらでも図面が載って入るのですが、 図面模写はともかく模型作成のためには必要な図面が足りないことも多いです。
というわけで、今回は名作住宅の平面図・立面図・断面図が収録された本・書籍で、かつアマゾンで手軽に購入が可能なものを紹介したいと思います。
建築家の自邸に学ぶ設計製図
こちらは、製図に特化した書籍です。そのため、模型やパースに関する言及は最低限、代わりに収録図面1つ1つに詳細な解説がついています。
とくに前川國男自邸とスカイハウスについては、図面を載せるだけでなく、平面図立面図断面図のほぼ全ての書き方をステップbyステップで解説している点が初心者にはありがたい点だと思います。
対してシルバーハット邸は、図面の読み方に特化した内容となっており、図面を読む基本的な視点やリテラシーを学べます。
そのほか、建築の実測に関しても一章分の紙面が割かれており、あらゆる面で図面・製図に特化した書籍と言えると思います。
収録図書
収録作品1:前川國男邸
- 一階・二階平面図 S=1/100
- 配置図兼一階平面図 S=1/100
- 断面図 S=1/50およびS=1/100
- 東側・南側立面図 S=1/100
収録作品2:スカイハウス(菊竹清訓)
- 一階・二階平面図 S=1/100
- 断面図×2 S=1/100
- 南側、北側立面図 S=1/100
収録作品3:シルバーハット(伊東豊雄)
- 平面図 S=1/150
- 断面図×2 S=1/150
- 北側・南側立面図 & S=1/150
- その他部分詳細図多数
建築のしくみ
上述の二冊でも取り上げられた『住吉の長屋』『白の家』に加え、海外の名作モダニズム住宅である『サヴォア邸』『ファンズワース邸』が収録されています。
特に3DCGによる表現に力を入れており、図面集というより建築の解剖図鑑的な性格を持っています。
製図、模型、三次元モデルを等価に扱う点が他の冊子との違いです。
他書籍に比べ相対的に図面の密度や書き込みが薄い反面、部材ごとに展開図や寸法、必要な模型材料の積算を掲載するなど、模型製作や三次元モデリング初心者向けの書籍と言えます。
収録図書
収録作品1:住吉の長屋(安藤忠雄)
- 一階・二階平面図 S=1/100
- 長手断面図 S=1/100
- 西側・南側立面図 S=1/100
- 部位の寸法(模型型紙) S=1/200
収録作品2:サヴォア邸(ル・コルビジェ)
- 一階・二階平面図 S=1/200
- 断面図 S=1/200
- 立面図(東西南北) S=1/200
- その他アクソメ図、展開図など 多数
収録作品3:ファンズワース邸(ミース・ファンデル・ローエ)
- 平面図 S=1/150
- 南側立面図 S=1/150
- 部分詳細図 アクソメ図など 多数
収録作品4:白の家(篠原一男)
- 断面図 S=1/100
- 一階・二階平面図 S=1/100
- 東西南北面立面図 S=1/150
- 基礎伏図 S=1/100
- 一階、二階床伏図 S=1/100
- 軸組図(東西南北面および間仕切り壁) S=1/100
- 小屋伏図 S=1/100
名作住宅で学ぶ建築製図
タイトルの通り、5種の名作住宅を通じて設計・構造・計画・現代住宅の基礎知識、そして製図に関する基本技能を身につける書籍です。
収録されている建築の数は多いものの、製図に特化した内容となっており、模型製作の方法や建築そのものの解説は最小限です。
また、書籍に収めるためにやむを得ないのですが、それぞれの図面のスケールがバラバラのため、実際の大きさをつかみにくいのがやや弱点です。
その他の特徴として、多くの学校で課題として出題される、吉村順三の軽井沢の山荘が掲載されています。
収録図書
収録作品1:白の家(篠原一男)
- 配置図 S=1/200
- 一階・二階平面図 S=1/100
- 断面図×2 S=1/100
- 矩計図(部分) S=1/30
- 矩計図(全体) S=1/40
- 基礎伏図 S=1/100
- 一階床伏図 S=1/100
- 小屋伏図 S=1/100
- 軸組図(広間南東側間仕切/南西側/南東側)S=1/100
- 一階・二階天井伏図 S1/100
収録作品2:ヴィラ・クゥクゥ(吉坂隆正)
- 一階・二階平面図 S=1/50
- 南側立面図 S=1/50
- 断面図×2 S=1/50
収録作品3:SH-1(広瀬鎌二)
- 配置図 S=1/100
- 一階平面図 S=1/50
- 平面詳細図(水回り) S=1/20
- 東側立面図 S=1/50
- 断面図(長手) S=1/50
- 断面図(短手) S=1/30
- 詳細図×3(鉄骨接合部) S=1/3
- 軸組図×2 S=1/00
- 矩計図 S=1/20
収録作品4:軽井沢の山荘(吉村順三)
- 配置図 S=1/200
- 一階・二階平面図 S=1/60
- 西側・南側立面図 S=1/100
- 矩計図 S=1/40
収録作品5:前川國男邸
- 一階・二階平面図 S=1/100
- 北側・南側立面図 S=1/100
- 矩計図 S=1/50
建築・設計・製図
安藤忠雄、堀部安嗣、岸和郎。今をときめく建築家3名の代表的な住宅を事例とした入門書です。
収録建築の選定基準として、以下の4つが挙げられています。
- 著名な建築家が設計した名作住宅であること
- 外部空間を取り込んだシンプルな箱型の住宅であること
- 設計当時の手描きの図面が掲載可能なこと
- 木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造(RC造)といった構造種別が明快であること
(本書「はじめに」より引用)
存命作家による比較的新しい作品であることが、前述の「名作住宅に学ぶ建築製図」との違いでしょう。
収録されている建築の数は3点とひかえめですが、それぞれの収録図書数は豊富です。
特に一つの建築の平面図を1/30から1/200の範囲で、様々なスケールで何度も収録しているため、スケールごとにどのような図面表現を行い、どの線が省略されるのかもよくわかります。
また、各建築の模型の作り方がステップバイステップで解説されている点も、一回生にはありがたい点だと思います。
収録図書
収録作品1:住吉の長屋(安藤忠雄)
- 一階平面図兼配置図(手描原図を縮小して掲載) S=1/50
- 断面図兼アクソメ図(手描き原図を縮小して掲載) S=1/50
- 一階・二階平面図 S=1/50 及び S=1/100
- 配置図 S=1/1000
- 断面図(長手) S=1/100
- 断面図(短手)×3 S=1/100
- 南側、西側、東側立面図 S=1/100
- その他 アクソメ図、透視投影図など
収録作品2:屋久島の家(堀部安嗣)
- 一階平面図(手描原図を縮小して掲載) S=1/70
- 立面図(手描原図を縮小して掲載) S=1/70
- 矩計図(手描き原図を縮小して掲載) S=1/30
- 一階平面図 S=1/50
- 一階・二階平面図 S=1/100
- 東側、西側、南側立面図 S=1/100
- 矩計図 S=1/30
- 断面図(短手)×2 S=1/100
- 配置図 S=1/500 及び S=1/1000
- 基礎伏図 S=1/100
- 一階・二階床伏図 S=1/100
- 小屋伏図 S=1/100
- X軸Y軸軸組図 S=1/300
収録作品3:東大阪の家(岸和郎)
- 三階平面図(手描原図を縮小して掲載) S=1/50
- 断面図(手描原図を縮小して掲載) S=1/50
- 二階・三階平面図 S=1/50
- 一階、二階、三階平面図 S=1/100 及び S=1/200
- 配置図 S=1/2500
- 屋根伏図 S=1/100
- 東側、南側、北側立面図 S=1/100
- 断面図(長手)×2 S=1/100
- 断面図(短手) S=1/100
- 展開図×4 S=1/100
- 二階、三階梁伏図 S=1/100
- 軸組図(長手、短手) S=1/100
- その他、アクソメ図、階段詳細平面図及び断面図 など
まとめ