建築学科に入って困ることの一つが正確な地図の入手方法です。
日常生活ではGoogleMapをスクリーンショットした画像があれば十分でした。
しかし、プレゼン用の敷地解析図や配置図、敷地模型のためにはGoogleMapでは力不足です。
GoogleMapの弱点は以下の3つです。
- 縮尺を自由に設定できない
- 地名や施設名・影などの余分な情報を削除できない。
- 日常生活用のデータのため正確でない線も多い
また、書店や市役所で正確な地図を購入できますがこちらも
- 1/2500など、小さな縮尺のものしか無い
- 必要な地図はごく一部なので、使わないところの地図まで買いたくない
- 地名や境界線など、GoogleMap以上に不要な情報が多い(シンプルな地図が欲しい!)
- スキャンが必要で場合によっては時間をかけてトレスしなければならない(IllustratorやCADで使いたい!)
など、いくつもの不満がありますね。
そこで今回は、必要な情報だけが盛り込まれた正確な縮尺の地図を入手するできる国土地理院の基盤地図情報サービスの使い方を紹介します。
びっくりすることにこの「基盤地図情報」正しく扱えばIllustratorやCADでも編集できる凄いやつなんです!
※macの場合、地図情報のダウンロードは出来ますが、それを閲覧する基盤地図情報ビューアが利用できないようです。mac上で利用したい方は品川地蔵様作成の閲覧ソフト基盤地図ビューア等を利用してください。指定した縮尺の地図がPDFにて出力できます。
勉強のロードマップ
はじめに地図をダウンロードする全体像を紹介したいと思います。
上記の図をご覧ください。
左の列には、利用する地理データ3種類が、中央の列には今回紹介するソフトウェア2種類が、右の列にはデータの活用法が並んでいます。
まずは、紹介する2つのソフトウェアの紹介をしたいと思います。
2つのソフトは、あなたがIllustratorやCADを持っているかいないかによって、どちらを選ぶかが決まります。
主要ソフト紹介
結論から先に言えば、IllustratorやCADを持っていない人は「基盤地図情報ビューア」を、IllustratorやCADを持っている方は「VectorMapMaker」を使うことをおすすめします。
1.基盤地図情報ビューア
「基盤地図情報ビューア」は国土地理院が作成したソフトです。
その名の通り、基盤地図情報の基本項目のみを扱うことのできるソフトであり、なおかつ閲覧・png化・印刷といった基本的な機能を持っています。
しかし言い換えれば基本的な機能しか持たず、IllustratorやCADへの展開をすることができません。
また、標高データや国土数値データを利用することもできない点も大きな欠点です。
つまり基盤地図情報ビューアは一回生や二回生の方のような、IllustratorもCADも持っていない初心者向けソフトと位置づけられそうです。
2.VectorMapMaker
それに対してVectorMapMakerは有志の方が作成したソフトで、国土地理院のデータ(基盤地図情報)も国土交通省のデータ(国土数値情報)も扱えます。
操作は複雑ですが、きめ細やかにデータを整理できるソフトです。
つまり、VectorMapMakerはCADやIllustratorが扱える人で、より詳細な地理情報を分析・可視化したい人のためのソフトです。
ただしこのソフト単品では閲覧も加工も印刷もできません。
(ただし一緒にダウンロードされるソフトを使えば閲覧はできます。)
つまり、VectorMapMakerはCADやIllustratorが扱える人で、より詳細な地理情報を分析・可視化したい人のためのソフトです。
ダウンロード先
閲覧・加工ソフト
勉強のロードマップ
これらの使い方は以下のページにて解説していきます。
- 基盤地図情報ビューアの紹介
基盤地図情報ビューアの使い方 - VectorMapMakerの紹介
IllustratorやCADで使える正確な敷地図をダウンロードする方法
IllustratorやCADで使える正確な敷地図をダウンロードする方法②
IllustratorやCADで使える正確な敷地図をダウンロードする方法③
- VectorMapMakeをより高度に使いこなす
- VectorMapMakerのデータをIllustratorでどう使うか?
VectorMAPMakerで作った地図を加工するちょっとしたコツ - その他便利な地図・統計ページ
敷地図・配置図の作成、周辺敷地解析に便利なサイト・ソフト 6選
データを利用する前に(権利とか利用許諾とかの話)
基盤地図情報の利用にあたっては、その利用用途に応じて国土地理院の承認が必要となる場合があります。
基本的に、上記に記載したようなプレゼンボードに記載する配置図・敷地解析図、及び模型製作のための利用は
次に該当する場合は、利用方法が複製・使用いずれであっても、承認を得ずに利用することが可能です。
- 私的に利用する場合
- 学校その他教育機関で利用する場合
- 一時的な資料として利用する場合
- イラスト的に利用する場合
利用方法が複製に該当する場合は、次の目的であれば申請不要で利用が可能です。
- 社内、サークル、同好会等においてのみ利用する場合
- 特定の者に対して提出する申請書、報告書等に複製物を掲載する場合
(国土地理院の地図の利用手続|国土地理院より)
に該当すると考えられるため、承認を得ずに利用することが可能です。
(また、コンペ等のプレゼンボードに地図情報を利用し、それが出版物に掲載されるのは成果品の二次利用にあたり、同じく申請不要と考えられます)
ただし、不特定多数へ配布する刊行物などに地図情報を記載する場合は、申請が必要な場合があります。
その時は、配布物の有償無償にかかわらず、一度国土地理院の地図の利用手続をみてし、申請の要不要を確認してください。
また、当記事に補足的に挿入される画像については
次に該当する場合は、利用方法が複製・使用いずれであっても、承認を得ずに利用することが可能ですが、出所の明示が必要となります。
- 学術論文に利用する場合
- 試験問題として利用する場合
- テレビ番組等で短時間の利用をする場合
- 刊行物等に少量の地図を挿入する場合
(国土地理院の地図の利用手続|国土地理院)
に該当するものと解釈し、記載しております。
なお、上記はあくまで筆者の解釈にすぎません。
詳細はきちんと国土地理院の利用規約を確認してから自己責任で利用してください。
本記事を元にダウンロード・作成した地図で何かしらのトラブルが発生した際も、当ブログは一切の責任を負いません。
記事を書いてくださってありがとうございます。勉強になりました。