個人的に建築学生のスペックと値段の相場というのは、
- 5万円前後:レポートとかオンライン授業とかに。一年生の頃はこれで十分。
- 10万円前後:建築課題をデジタルでやる最低水準。
- 15万円前後:図面作成やプレボデザインなども快適。
- 20万円前後:3Dモデリング・動画編集・VRするならこの辺。
ぐらいかなーという感覚があります。
ところが、こういう相場感覚というものは、これからPCを選ぶ人にとってはなかなか掴みにくいものではないでしょうか?
そこでこの記事では、PCの相場を掴む基準として、とりあえず「MacBookシリーズ」を比較するのがいいのではという結論にいたりました。
MacBookとは、スティーブ・ジョブズのiPhoneで有名なApple社が出しているノートパソコンの総称です。
(ちなみにデスクトップ型の総称はiMac)
多くの方がご存知の通り、Macシリーズはそのデザイン性の高さを売りにしております。
そのためその性能や値段も、一般的なビジネスマンや家庭用のPCよりは「デザーナー・クリエイター」向けのラインナップとなっています。
そのためこの記事では、MacBookシリーズの値段とスペックを比較し、クリエイター見習いの方のための「予算感覚・相場感覚」把握のお手伝いをできればと考えております。
そもそも建築学科で必要なPCスペックってどのくらい?
PCにどの程度の性能が必要かという問いは、そのPCでどんなソフトを使うのかという問いと同義です。
下記の記事では、建築学生がよく使うPCソフトとその必要スペックを一覧にしたものです。
【予算20万円以下】Q. 建築学生におすすめのPCを教えてください。この記事を読む前に、もしくはこの記事を読んだ後に、ざっと目を通しておくと、この記事の理解がより深まると思います。
Apple社のノートパソコンから見る、PCの相場感
それでは早速、MacBookシリーズの性能と、それに対する予算を比較していきましょう。
ちなみに最初に断っておくと、MacBookシリーズはWindowsのノートPCに比べてやや割高な値段です。
WindowsのPCを買う場合は、ここに書いてある値段から2-3万円程度引いた値段をイメージして予算を立てましょう。
MacBook Pro 13インチ(非カスタマイズ版)
はじめに紹介するのはMacBook Proです。
その名の通りプロ向け・クリエイター向けのスペックを持つ機種です。
MacBookの中では最もスタンダードなタイプのノートパソコンと言えるでしょう。
建築学科での課題にも慣れ始めて、
「そろそろ手書きの設計課題も飽きた。PCでの製図やデザインを本格的に始めたい」
と考えている方は、このPCに近いスペックのPCを探すと満足感の高い買い物になるかと思います。
2020年3月現在、非カスタマイズ時の「MacBook Pro13インチ」のスペックは下記のとおりです。
- CPU :1.4 – 3.9GHz クアッドコア Inter Core i5
- GPU:Intel Iris Plus Graphics 645
- メモリ :8GB
- ストレージ:128GB
- 価格 :139,800円
▼公式サイト
1、2年生なら、かなり背伸びするとしてもこのスペックで十分だと思います。
CADソフトもiOSに対応しているソフトであればまず動きますし、プレゼンボードの作成や模型写真の編集も動作が止まることはないでしょう。
ただし、このMacBook Proには二つ大きな欠点があります。
まず、画面サイズ13インチという画面の狭さです。
13インチはクリエイティブな作業をするには本当に最小限中の最小限の画面の大きさなので、購入の際は一度お近くの家電量販店などで大きさを把握してから購入してください。
もう一つは、MacBook Proの13インチサイズには独立GPUがない点です。
これは、単に製図やグラフィックデザインをするくらいであればあまり問題にならないのですが、3DモデリングやBIMツールとかを使いたい人にとっては致命的な弱点です。
詳細は下記のリンクをご覧ください。
というわけで、購入の際は「MacBookPro13インチ」を買うのではなく、「MacBookPro13インチの性能に近い他社製品を探す」と、うまくいくのではないかと思います。
MacBook Pro 16インチ(カスタマイズ版)
MacBookProシリーズは、13インチと16インチ、2つの画面サイズがあります。
当然画面の大きさの違いだけではなく、スペック面でも16インチ版の方が全体的に高性能となっています。
そこでここでは、16インチにさらにカスタマイズを施し、動画編集や3Dモデリングといったより本格的な作業に適したスペックとしたMacBook Proを見てみましょう。
- CPU :2.6-4.5GHz 6コア Inter Core i7
- GPU:AMD Radeon Pro 5300M
- メモリ :16GB
- ストレージ:512GB
- 価格 :248,800円
ひとまずこのスペック・価格が、建築学生がバイトや親の借金を駆使して購入できる価格の上限かなと思います。
というよりも、学生レベルでこれ以上のスペックのPCを購入しても、正直持て余すだけでしょう。
Windowsならば、探せば20万円でこのくらいの性能のPCにも出会えるかと思います。
VRエンジニアリングとか、本格的な3Dモデリング・BIM設計に興味がある4年生・大学院生は、こちらの価格帯のPCにも挑戦する価値があると思います。
MacBook Air 13インチ(非カスタマイズ版)
最後に紹介するのは、こちら、MacBook Airです。
その名の通り空気のように軽くて薄い、一般ユーザー向けのノートパソコンです。
2019年現在アップル社が出しているノートパソコンのうち、最も価格が低いのは「MacBook Airの13インチ 」119,800円でした。
(一般向けにしては高ぇよ怒)
- CPU :1.6 – 3.6GHz デュアルコア Inter Core i5
- GPU:Intel UHD Graphics 617
- メモリ :8GB
- ストレージ:128GB
- 価格 :119,800円
▼公式HP
さて、建築学科におけるMacBook Airの立ち位置ですが、「中途半端」というのが正直なところです。
まずこの「CPU:Inter Core i5」「メモリ:8GB」というのは、オンライン授業を受けたり、レポートを執筆するには十分すぎる性能です。
また、標準的なお絵かきソフトやプログラミング学習などを行うにも手頃なスペックですが、画面サイズがちょっと小さいかな…という感想です。
でもこの程度の目的ならばはっきりってiPadでも十分なんですよね……
2019年まではMacBook Airは9万円代だったのですが、今や最低価格が10万円を超えてしまって、建築学生がこれを買うメリットはあんまりないと思います。
せめて3年生の夏までには買い換えるつもりで購入するのがベストだと思います。
逆に製図やデザインなど建築学科らしいことをする(IllustratorやCADソフトを動かす)となると、少なくともMacBook Airではスペック不足と言わざるをえません。
このスペックのPC作業は、非常にストレスフルなものになる覚悟が必要です。
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まとめ
上記の内容を踏まえ、PCの性能と目的とそれに必要な大体の金額を、一枚の表としてまとめてみました。
この早見表は、この記事の内容と下記の記事の内容を元に筆者がまとめたものです。
建築学生のよく使うソフトと、それに必要なPC性能一覧情報としてはちょっと古いかもですが、PCの性能が上がるとそれに応じて各種ソフトの機能もアップデートしてしまうものなので、最終的にはこの値段感覚に収まると思います。
仮にこの表の内容が古くなったとしても、「MacBookシリーズの値段を基準にする」という判断基準は、5年10年くらいは使える基準だと思います。
PC選びの参考になれば幸いです。