この記事は下記記事の続きです。
初めてこの記事をご覧の方は、以下の記事から御覧ください。
さて、下記が前回の記事までの作成物です。
今回は、このパースに様々な加工を施し、よりリアルに、より自然に、よりドラマチックにする方法を紹介します。
STEP6:窓ガラスの反射を再現
窓ガラスに映る風景を再現します。
はじめに、添景が作業の邪魔なので、[レイヤー]パネルから添景フォルダの目のアイコンをクリックし、添景を非表示にします。
【操作】
- [レイヤーパネル]から添景レイヤーを非表示にする。
まず、レイヤーの複製で背景レイヤーを複製し、(もしくは適当な風景写真を新しいレイヤーで開き、)
レイヤーの種類を[オーバーレイ]、に不透明度を[15%]に設定します。
【操作】
- [背景レイヤー]を右クリックし複製する。
- レイヤーの設定を[オーバーレイ]不透明度を[15%]に設定する。
- レイヤーを[建物レイヤー]の一つ上に移動させる。
前回のSTEP1と同様に[多角形選択ツール]を使い、建物の窓ガラスの部分を囲みます。
【操作】
- [多角形選択ツール]を選択する。
- 建物の窓ガラス部分を、クリックによって選択する。
(参考:この選択範囲はあとあと使う可能性もあるので、アルファチャンネルに保存しておくと便利です。)
【操作】
- [チャンネル]パネルをクリック。
- [選択範囲をチャンネルとして保存 ]をクリック。(選択範囲が[アルファチャンネル]として登録される。)
再び[レイヤー]パネルを開き、[レイヤーマスクを追加]をクリックし、選択範囲をレイヤーマスクに変換します。
先程範囲選択した窓ガラス部分にのみ、うっすら背景レイヤーがかかっているのが見えると思います。
【操作】
- 複製した背景レイヤーを選択した状態で、[レイヤーマスクを追加]をクリックする。
- 新しいマスクが作成される。(選択した窓ガラス部分以外の背景が非表示になる。)
これでなんとなく、窓ガラスの映り込みっぽくなりました。
(参考:ちなみにこの映り込みを動かしたい場合、単純に移動ツールで動かしても、マスキング範囲ごと動かしてしまい、うまくいきません。
マスキング箇所と独立して画像を移動・変形したい方は、下の図を参考にしてください。)
STEP7:太陽光と逆光の再現
イラストレーション・漫画・映画・風景画とあらゆる創作における基本として、
逆光にすればドラマティックになるというセオリーがあります。
あらためて完成画像を見てみましょう。
建築パースにおいては、
- 差し込む光
- 暗くなった周囲
- ぼんやりと光が灯る室内
などをうまく表現できれば、ぐっとドラマティックな表現ができるようになります。
(繰り返しすぎるとクドいですが.)
陳腐な手段ですが、非常に使い勝手のいいセオリーなので紹介します。
まず、新しく真っ黒に塗りつぶしたレイヤーを作成し、種類を[スクリーン]にします。
さらに、[フィルター]→[描写]→[逆光]を選択します。
【操作】
- 一番上のレイヤーに、真っ黒に塗りつぶしたレイヤーを作成する。
- レイヤーの設定を[スクリーン]不透明度を[62%]にする。
- ツールバーから[フィルター]→[描画]→[逆光]を選択する。
[逆光]ダイアログがでるので、位置など設定を適当に指定して[OK]をクリックします。
山の向こうから朝日が登るような、レンズフレアが追加されます。
非表示にしていた植栽も表示してみましょう。
ここから、建築と植栽の側面が逆行で暗くなるのを表現します。
まず、わかりやすさのために、一旦レイヤーを下記の通り少し整理しました。
背景レイヤーを選択し、
[色調補正]パネルから[トーンカーブ]を選択し、
新しい調整レイヤーを作成します。
【操作】
- 背景レイヤーを選択する。
- [色調補正]パネルから[トーンカーブ]をクリック(新しい調整レイヤーが作成される)。
このトーンカーブも、植栽を背景になじませるときと同様に、画像の明るさや色を変更できます。
カーブの一部分をクリックしてノードを作り、それを動かすことで背景の明るさを変化させることができます。
単に明暗だけでなく、
写真を青っぽくしたり、黄ばんだ感じにしたり、逆に特定の色味を落としたりもできます。
【操作】
- [属性パネル]を開く
- [RGB][レッド][グリーン][ブルー]のうち、編集したい色を選ぶ。
- トーンカーブのノードを動かし、色味を編集する。
今回は全体的に暗くした上に、[レッド]と[グリーン]の成分を少し抑え、全体に青みがかった雰囲気を出してみました。
お好みで調整してください。
植栽と建築にも、同様の調整レイヤーを作成し、クリッピングマスクをかけます。
これで、写真全体が青みを帯び、早朝のような独特の雰囲気が出るようになりました。
しかしこのままだと、建物の室内まで暗い印象になってしまいます。
実物の建物であれば、下図右のように室内光が灯っているため、もっと明るい印象になるはずです。
そこで今建築に対してかぶせた調整レイヤーのうち、窓ガラスの部分のみをくり抜き、
「建物全体は暗く、窓ガラス部分のみ明るく」
したいと思います。
STEP8:室内光の再現
ここからはより発展的な操作となります。
ある意味でこの工程はPhotoshop操作の鬼門、「レイヤーマスク機能」をきちんと理解できているかという登竜門でもあります。
逆に言えば、このSTEPで何をしているのか理解できるようになれば、Photoshopは脱アマチュアといっていいと思います。
頑張っていきましょう!
まず、STEP6で窓ガラスの映り込みを再現するときに、[アルファチャンネル]として保存した選択範囲を呼び出します。
[チャンネル]パネルを開き、[アルファチャンネル]をクリックします。
画面が白黒になります。
【操作】
- [チャンネルパネル]を開く。
- [アルファチャンネル]をクリックする。(画面が白黒に)
[チャンネルを選択として読み込む]をクリックすると、
STEP6で作成した選択範囲が復元され、再び窓を囲むようにに点線が現れます。
【操作】
- [チャンネルを選択として読み込む]をクリック
- 保存されていたチャンネルが、選択範囲として復元される
再び、[レイヤー]パネルを開きます。
【操作】
- [レイヤーパネル]を開く。
建物にかかっている調整レイヤーの白い四角をクリックしてください。
白い四角がL字で囲まれるとともに、画面の赤い色が消えて、点線のみが残ると思います。
【操作】
- [調整レイヤー]の[レイヤーマスク]をクリック(範囲選択が復元される)。
こうして、こうしてアルファチャンネルに範囲を保存しておくことで、あとから同じ範囲を呼び出すことが可能になり、何度も同じ範囲選択を繰り返す必要がなくなるのです。
あとは、調整レイヤーのレイヤーマスクのうち、窓ガラスに当たる部分を黒で塗りつぶしましょう。
[塗りつぶしツール]を選択します。
カラーパレットが[黒100%]なことと、オプションバーの[隣接][すべてのレイヤー]のチェックが外れていることを確認します。
【操作】
- [塗りつぶしツール]を選択する。
- [カラーパネル]から黒を選択する。
- オプションバーの[隣接][すべてのレイヤー]のチェックを外す。
- 選択範囲を塗りつぶす。(マスキングする)
この状態で範囲選択部分をクリックすると、窓ガラス部分にレイヤーマスクがかかり、室内部分のみが明るくなります。
「なんで黒く塗ると明るくなるんだよ!?」
その疑問はもっともです。
STEP2を思い出してください。
黒のインクでレイヤーマスクを塗ると、建物のレイヤーが草の形に切り抜かれましたよね?
今回の操作も原理は同じです。
建物全体にかかっている調整レイヤーに対し、窓ガラス部分の調整レイヤーを黒く塗りつぶすことで、窓の部分の調整レイヤーを解除し、窓が明るく光っているように見せているのです。
STEP9:仕上げ
仕上げに、テクスチャを上からかぶせて全体の雰囲気を整えます。
今回はフリー素材のポリゴン模様を、[ソフトライト]で薄めに重ねがけて完成です。
【操作】
- ドラッグ&ドロップで、ダウンロード済みのテクスチャを貼り付ける。
- テクスチャレイヤーの設定を[ソフトライト]に
完成品のレイヤーは下記のとおりです。
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